ジャーナリズムNGOワセダクロニクルと、特定非営利活動法人の医療ガバナンス研究所は2019年1月、マネーデータベース「製薬会社と医師」の2016年度版を公開しました。趣旨については、2016年度版冒頭の「患者とその家族、友人のみなさまへ」をご一読ください。https://db.wasedachronicle.org/about/
行政も製薬会社も持っていないオンリーワンのツールとして、1年間で350万回以上の利用がありました。かかりつけ医やメディアで発言している医師たちが、製薬会社とどのような利害関係があるのか。簡便にチェックすることができたという声を、様々な患者さんからいただいております。
国会の衆議院厚生労働委員会では、文部科学省がデータベースを使って調査した結果を元に、大学病院の医師たちの勤務実態が審議されました。
「自分の国でも作りたい」
新聞、テレビ、雑誌などメディアでもこのデータベースを使っての報道が相次ぎ、医師と製薬会社の関係をガラス張りにする試みは大きく前進しました。
私たちはワセダクロニクルが記事で、医療ガバナンス研究所は国際論文でデータベースを活用しました。薬の推奨薬を決める診療ガイドラインを作成する医師や、薬の値段を決める中医協の薬価算定組織の医師に、多額の資金が製薬会社から支払われている実態などを次々に明らかにしました。
昨秋に世界中のジャーナリスト1500人がハンブルグに集まって開催された「世界探査ジャーナリズム会議」でも、我々はデータベースの取り組みについて発表しました。参加者からは「自分の国でも作りたい」とデータベースの作成方法を尋ねる質問が相次ぎました。
私たちはこのデータベースの作成は毎年続けるべきだと判断し、2016年度版に続き2017年度版を作成しました。
今回は製薬会社から医師個人への支払いだけではなく、大学の研究室や学会、NPO・財団への「寄付金項目」を加えました。
使徒の制限がなく、日本独自の慣行と言われる大学の研究室への「奨学寄付金」や、製薬会社の資金に頼っている各学会の実態が把握できます。製薬会社から医師への資金を仲介する財団やNPOも、より透明化されることになります。
データベースには多大な費用と労力がかかります。私たちのような小さな組織ではなく、厚生労働省なり製薬会社が作成すればいいという声もあります。日本学術会議は2014年に日本製薬工業協会に対して、データベースを作成するよう提言しました。
しかし、患者さんはみなさんのご家族や友人といった身近な存在におられます。今は健康な若者も将来は何らかの病気をするでしょう。自分自身や大切な人たちの命と健康を本気で守りたいのであれば、「官」任せにせず、「民」が主体的に行動することが重要だと私たちは考えます。
このデータベースを患者さんのための「公共財」として、社会のみなさまと共に育てていけることを願っています。
ワセダクロニクルデータベースは、製薬各社がホームページ上で公表している医療関係者(医師・看護師・薬剤師・企業など)への支払い情報に基づいて作成しています。正しく表示されるよう精査していますが、氏名、組織名、金額の誤記または脱落がある可能性もあります。誤りにお気づきになりましたら、お問い合わせフォームよりご連絡ください。
製薬会社が公表した情報に誤りがある場合は、当該製薬会社にご相談ください。
同姓同名の方もおり、可能な限り判別してアルファベットで表記しました。判別できなかった場合は「判別不能」としています。
また、氏名の漢字が旧字体で表記されている場合があります。検索される際は旧字体も試してみてください。
なお、データベースには、看護師・薬剤師・企業など医師以外への支払い情報も一部含まれています。
2017年度版のデータベースに登録されている製薬会社の一部は、社名変更やデータが取得できなかったために2016年度版とは異なります。
このデータベースを用いて報道する場合は、出典を明記してください。表記例(出典: ジャーナリズムNGOワセダクロニクル/特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所「マネーデータベース『製薬会社と医師』」)
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